カジノバーの悪魔

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「俺達はいいっすよ。遠慮しときます」 准汰はやんわりと断った。 「何を遠慮してんだ。ビビってんのか? 何も怖がることはない。最上(もがみ)も佐々木(ささき)もやってるんだ」 「えっ!? 翔四季と賢斗が?」 准汰は開店前の出来事を思い出した。トイレのドア越しに賢斗が言っていたことを。 (おいっ、いい加減に出てこい、このクソピアス。ケツに何ぶち込んでやがんだっ!? んあ? 分かったぞ。シャブだろ?) 准汰は、まさか、と思った。あれは賢斗なりの冗談だと思っていた。 既に二人が覚せい剤をやっているなんて、准汰にはとても信じられなかった。 「ほら、いいから早く飲め」 猪狩はバーカウンターに覚せい剤入りドリンクを置くと二人を急かした。 「す、すいません」 佳紀はあやふやな返事をしたが、猪狩の耳には届かなかった。 「マジ勘弁して下さい。俺等そういうの興味ないですし、佳紀は学校もあるし、マジでヤバイですよ」 准汰の鼻に激痛が走ったのはその直後だった。
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