プロローグ

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外は久しぶりの快晴だった。少し前まで、じめじめとした梅雨空が続いていたので、今朝は格別に気持ちがいい。 そしてこの清々しい青空が、准汰の気持ちを後押ししていた。 准汰はおもむろに携帯電話を取り出すと手早く打ち込み、羽香南にメールを送った。 〈今日、仕事が終わったら外で待ち合わせて、どこかで食事しないか?〉 〈うん、いいよ! 私は五時には終わると思うけど、ジュンちゃんは?〉 〈残業がなければ多分六時には終わると思う。だから、六時半にK駅の改札前で待ち合わせようか〉 〈了解なりー! じゃあ、今日もお仕事ガンバってね!! 愛を込めて、チュッ☆〉 足取りの軽い准汰は、今日は何が何でも仕事を早く切り上げ、婚約指輪を買いに行こうと思った。 そしてディナーの後で、羽香南にプロポーズをしようと思った。 もう後悔はしたくないし、させたくもない。何より健気に尽くしてくれる羽香南を幸せにしてやりたい。 准汰は心からそう思った。
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