105人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺は翔四季を信じるよ。だからその金はジュンの給料であって、ジュンの物なんだよ。ねぇ、受け取りなよ」
「……分かった。佳紀がそう言うなら俺も翔四季を信じる。それに正直言うと金が必要だったんだ」
「結婚資金ってやつか。そういえばまだ言ってなかったよね。おめでとう、ジュン」
「おう、ありがとう」
佳紀が買ってきた缶ビールで、二人はささやかに乾杯を交わした。
准汰は酒で気持ちが良くなってくると、佳紀に沙夜の自慢話を沢山聞かせ、佳紀はそれに相槌を打ちながら、そのスポーツマンらしい爽やかな笑顔を常に絶やさなかった。
佳紀が帰った後、准汰はベッドに寝転がり、これから翔四季とどう向き合うべきかを考えていた。
何が何でも覚せい剤だけは止めさせたい。
しかし、今の准汰には先にやらなければいけないことが沢山あり余裕がなかった。
その晩、准汰はどこか歯切れの悪い思いを残したまま、いつの間にか深い眠りについていた。
最初のコメントを投稿しよう!