第二章 ひび割れた家族

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准汰が中学生になると再び紀美子達と暮らし始めるようになった。 だが相変わらず堺は准汰を無視し続け、准汰も同じように堺のことを無視した。 この頃から准汰は紀美子に対し、クソババァ、と暴言を吐くようになり、生活は荒んでいった。 酒や煙草を始め、警察に補導されることも増え、度々紀美子とは衝突をした。 准汰が翔四季達と出会ったのもこの頃だった。 准汰は最初は目つきの悪い翔四季を快く思っていなかったのだが、二人が拳を交えるようなことはなく、いつしか親友となっていたのだ。 もしかしたら、お互いに惹かれ合う何かがあったのかもしれない。 准汰は翔四季達と出会うことで漸く自分の居場所を見付けることができた。 例え悪事の中に身を置いていたとしても、ひび割れた家族と居るよりはずっとずっと居心地が良かった。 人は孤独には勝てない。 准汰はそれを肌で感じていた。
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