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粗方予想していたことではあったが、准汰は昭子の言葉に粉砕された気分でいた。
何より昭子の言葉は冷静でいて重たかった。
准汰は結婚生活や子育てというものを漠然としか掴んでいなかったことを自覚すると、反省した。
そもそも出産をするのに費用が掛かるなんて知りもしなかった。
子供が産まれるということはおめでたいことなのだから、病院や国が無料で援助してくれるものだと思っていたのだ。
ミルクやおむつや子供服にしたって、小さな子供が使う物なのだから大した金額ではないと思っていた。
これからは自分達の服を買えなければ、お洒落をする時間も、遊ぶ時間も、寝る時間もないと言う。
准汰はそういった現実的なこと聞かされ、自分の甘さや未熟さを痛感した。
未成年の准汰達が結婚し、子育てをするということは並大抵のことではなかったのだ。
まして勢いや中途半端な覚悟で乗り越えられるものでもない。
准汰は今自分が試されている時なのだと実感した。
この試練を乗り越えるか、乗り越えられないかで、先の人生が大きく変わる。
准汰は押し寄せて来る荒波を前に固唾を飲んだ。
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