甘い夢、厳しい現実

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准汰は家に帰る前に、いつも行く美容室へと向かった。 髪を切って准汰なりにケジメを付けたかったのだ。 勿論、仕事を探すのに長髪よりも短髪の方が採用されやすいだろうという考えもある。 所詮、世の中なんてそんなものなのだ。 「高杉君、本当にいいの? ここまで伸ばしたのに勿体ないな」 「いいんすよ。バッサリいっちまって下さい」 担当の美容師は、准汰の髪に櫛を入れながら些か残念そうに言ったが、准汰の返事を聞くと躊躇うことなく鋏を入れた。 肩まであった准汰の髪は見る見る短くなり、最終的にはベリーショートとなった。 「なんかスゲー涼しいっすね」 准汰は襟足を摩りながら、鏡に映った自分をまじまじと見つめながら言った。 准汰は美容室を出るとコンビニで求人情報誌を買って家に帰った。 部屋に入り煙草をくわえたところで考える。 (禁煙しようか) 准汰は煙草を握り潰すとごみ箱に投げ捨て、中学生の頃から愛用していたジッポーライターを箪笥の奥に仕舞い込んだ。 准汰は生まれ変わった自分に気付き、一人照れ臭くなって笑った。
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