激動

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「この度はうちの馬鹿息子がとんでもないことを仕出かしまして、誠に申し訳ありません」 紀美子は昭子と対面するや否や頭を下げ言った。 「まぁまぁ高杉さん、顔を御上げになって下さいな。今日はこの子達が今後どうするかを話し合うんですから、過ぎたことをどうのこうの言うのは止めにしましょう。さぁ、高杉さんも准汰君も掛けて下さいな」 昭子は二人を席に促した。紀美子は席に着くと、詰まらない物ですが、と言って途中で買ってきた菓子折りを昭子に差し出す。 沙夜は四人分のお茶を入れると、テーブルに置き、どうぞ、と紀美子に言った。 沙夜と紀美子が顔を合わすのは、この時が初めてだった。 「既に高杉さんも准汰君の口から聞いてることだと思いますが。まだ十日程だったかしら。准汰君も真面目に働いてるようですし、二人の考えはまだまだ未熟ですが、彼等なりに一生懸命やっているとは思うんです。それで私は二人を――三人を見守ってあげたいと思ってるんですが、高杉さんはどうでしょうか?」 昭子は穏やかな口調で言った。
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