激動

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准汰に訃報が届けられたのは二日後のことだった。 翔四季と賢斗が暴走族からリンチを受け病院に運び込まれたのだ。 ――翔四季と賢斗は、猪狩の下で覚せい剤の売人をしていた。 二人は猪狩から与えられたノルマを熟す為に、ちまちまと覚せい剤を捌くよりも、纏めて捌ける暴走族やチーマーに目を付けた。 やがて翔四季の悪い癖が始まる。 翔四季は売り物の覚せい剤から微量を抜き取り、それを自分達の懐に入れ始めた。 更に覚せい剤の金額を猪狩に言われたよりも上乗せして売り、差額分を自分達のポケットマネーにしたのだ。 次第に抜き取る覚せい剤の量が増えていき、当初と比べて売られる覚せい剤の量は明らかに違った。 暴走族やチーマー達からは、金額は上がるわ、量は減るわで不満が続出する。 だが、バックに暴力団が絡んでいることが分かっているので、殆どのグループが渋々納得をした。 しかし、それに納得の行かないグループも居た。 翔四季達は、一つの暴走族団と覚せい剤を巡って揉め始めた。 話し合いでは埒があかず、血気盛んな彼等は衝突をする。 数で圧倒する暴走族に対し、翔四季達は二人しか居ない。 ヤンキー漫画や映画によくあるように、少数の翔四季達が大勢の暴走族団を次々と倒していくなんて話は非現実的であり、現実は残酷なものであった。
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