激動

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(四十万か。沙夜に指輪でも買ってやろうかな) (おっ、いいね。んじゃ、俺は真澄にエンゲージリングでもやろうかな) (フン、お前は思いっきりフラれろ) (馬鹿ピアスッ! 真澄は俺に夢中なんだよ。佳紀も笑ってんじゃねぇよ) (だって賢斗。それにエンゲージリングって意味分かってるの?) 准汰は四人で笑い合った日々を思い出す……。 居たたまれなくなった准汰は、賢斗と真澄を置いて飛び出した。 「ジュン」 准汰が廊下に出たところでそう呼び掛けたのは、佳紀だった。 「賢斗に会ってきたんだね。翔四季の病室にはもう行った?」 「いや、まだだけど……」 「じゃあ、一緒に行こう。翔四季助かったらしいよ」 准汰と佳紀が病室に入ると翔四季は眠っていた。 翔四季のトレードマークとも言える長髪とピアスはどこにも見当たらず、包帯姿に呼吸機が取り付けられた弱々しい姿があるだけだった。 「もう意識が戻ることはないらしいよ。植物状態なんだって……。でも、それでも生きてて良かったよね……」 佳紀は言った。
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