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准汰と佳紀が涙する中、病室のドアがノックされた。
「失礼します」
ノックの後に女性の声が聞こえてくる。
新たに翔四季の病室に三人の友人が顔を出した。
「久しぶりだな」
波多雄大(はた ゆうだい)は言った。
金髪に色黒の雄大は一見遊び人にしか見えないが、この日の彼は沈痛な面持ちであった。
「高杉さん、安立さん、お久しぶりです」
渋谷寛(しぶや ひろし)はキャップを取ると二人に軽く会釈をする。
寛の細い垂れ目はウド鈴木に瓜二つだった。
「花持ってきたんだけど、花瓶ないみたいだね」
三鎧真理子(みかい まりこ)は手にした花を翔四季の傍らに置くと椅子に腰掛けた。
「雄大、それに三鎧さんにウドも来てくれたんだ」
佳紀は涙を拭うと久しぶりに再会した友人達に声を掛ける。
「賢斗君と真澄ちゃんは二人っきりにしてあげた方がいいと思って皆でこっちに押し掛けちゃった」
真理子は言った。
「まさかこうなるとはな……。ジュン、大丈夫か?」
雄大は怒りと悲しみで肩を震わす准汰に優しく声を掛けたが、准汰がそれに答えることはなかった。
「俺、佐々木さんと最上さんをやった奴等が許せないっすよ」
病室に入って早々、准汰達より二つ年下の寛は息巻いた。
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