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真理子はそんな寛を子供をあやすように宥め、雄大は若干呆れて溜息を吐いた。
「なぁ雄大……確かお前暴走族のこととか詳しかったよな? 賢斗と翔四季をやった奴等がどの辺に顔を出すか分かるか?」
准汰は涙を拭くと聞いた。准汰の目は真っ赤に充血していた。
「それ聞いてどうすんだよ?」
「決まってんだろ、賢斗と翔四季の敵を討つ。ウド、今日中に人数集められるか?」
「任せて下さい、高杉さん。とことんやってやりましょう」
寛は准汰に賛同したが、他の三人は首を縦にはしなかった。
「准汰君もウド君もダメよ。大体そんなことして何になるの? そんなことしたって賢斗君は生き返らないし、翔四季君は起き上がらないんだよ」
「んなことは分かってるよ。三鎧さんは少し黙っててくれ」
真理子はいきり立つ二人を宥めようとしたが、准汰はそれを一蹴した。
「ううん、黙って見過ごすことなんてできないよ。准汰君のその考えは間違ってるもの。仮に相手にも同じことをしたとして、それで誰が得をするの? ただ私達みたいに、真澄ちゃんみたいに、この先悲しみを抱えて生きる人が増えるだけじゃない。そんなの間違ってるよ」
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