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「何が正しいとか、間違ってるとか、そんなことどうでもいいんだよ。とにかくそうしなきゃ俺の気が済まねぇんだ」
「ダメよ。そんな一時の感情で動かないで」
「友達が殺されたんだぞ。寝たきりになったんだぞ。これが黙っていられるか!!」
この直後だった――真理子が准汰の頬を思い切り叩いたのは。
病室にビンタの音が虚しく響く。
「准汰君、いい加減にして! あなた父親になるんでしょ。これから親になる人がそんなんでどうするのよ。それに翔四季君達がやってたことは犯罪なんだよ。相手に怪我もさせてるし、自業自得と言えば自業自得じゃない。いくら友達だからって同情はできないよ」
「……三鎧さんは冷てぇよ。三鎧さんは冷てぇよ!!」
准汰は病室を飛び出した。途中で看護婦や他の患者と肩がぶつかったが、准汰は止まることなく走り抜けた。
准汰は病院を出たところで立ち止まると振り返り、翔四季と賢斗が眠る階を見上げた。
(翔四季、賢斗、俺はどうしたらいいんだ?)
准汰は再び二人に背を向けると静かに歩き出した。
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