激動

17/25
前へ
/174ページ
次へ
准汰が病院を出てすぐ、雄大が追い掛けてきた。 「ジュン、待てよ。そんな顔でどこに行く気なんだよ?」 「カジノに行く。俺達が働いてた店だ。全てはここから始まってんだよ」 「そこ行ってどうすんだよ? そこの相手ってヤクザなんだろ? 止めとけよ、ジュン」 「うるせーな、お前はついて来んな。俺一人で十分だ」 「馬鹿言え、放っておけるかよ。なぁ、冷静になれって。ジュンまで死んだら、お前の彼女と子供はどうすんだよ」 「別に殴り込みに行く訳じゃねぇよ。ヤクザに勝てるなんて思ってねぇし。ただ、じっとして居られねぇんだ」 准汰はひたすら歩き続けた。雄大は必死について行く。 「なぁ、ジュン。マリちゃんのことだけどよ、マリちゃんだって同じくらい悲しんでんだ。辛いんだよ。だから、そこんとこ分かってやってくれよな」 「……分かってるよ。さっきの三鎧さんのビンタは、その辺のヤンキーのパンチよりも効いたしよ」 准汰の頬はまだ赤かった。准汰も雄大も苦笑する。 その後二人は無言のままカジノバーまで歩き続けた。 翔四季と賢斗の人生を狂わせた元凶を目指して。
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

105人が本棚に入れています
本棚に追加