プロローグ

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ミーンミーン… 外からは蝉の鳴き声が聞こえる。 俺の部屋から聞こえるのは外の五月蝿い蝉の鳴き声だけで、それ以外何も音はない。夏なのにこの部屋にだけは何故か背筋が凍るような、異様な空気が流れている。 ―そのふすまを引いてはいけない― 直感で感じた。 ふすまに伸ばしかけた俺の手はふすまの手前で止まった。 その瞬間、一瞬にしてふすまが5センチ程開き中から青白い手が俺の腕を掴んだ。
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