1.中山拓矢

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1.中山拓矢

「なあ、頼むから今日泊めてくんねぇ?親とケンカしちまってさ!頼むよ!」 「はあ?またかよ~。お前そう言ってこの間1週間も俺んち泊まっただろ。絶対やだね。」 M大学自慢のカフェテラスで友人に頭を下げているのは、M大学2年の中山拓矢だ。 拓矢は基本的にいい加減で、何においても人頼みといった適当な性格の持ち主である。そのくせ見た目は人一倍気にして、服装もカジュアル系から流行りのサーフ系に変えた。 身長は高く、180センチはあるだろう。顔は悪い方ではなく、大きな目に薄めの唇が特徴的だ。茶色く染まった髪はいい加減な性格からか、手入れされておらず痛みきっている。 モテない訳ではなかったが、人付き合いがめんどくさいと思いあまり彼女は作らなかった。いわゆるめんどくさがりなのである。 「なあ、頼むよ~!まじ!一生のお願いっ!」 拓矢は常にお金がなく、親とケンカすると家を追い出されるためいつも寝床に困っていた。バイトはしているのだが、管理が下手なせいで月末にはいつもなくなってしまう。
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