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部屋は一瞬どこかの金髪のスタンド使いが時を止めたように沈静化している。
以前リリは頭を下げ、カイは呆然と固まっている。
カイはゆっくりと口を開き意思を表した。
『無理だ』
『うっ…』
リリにとってはかなり厳しい答えであったが続けてカイは言った。
『理由を説明すると…まず計画に無理がある。お前は自分の力を取り戻す旅とは言うが力を取り戻すあてはないのか?』
『うっ…ないです…』
カイは休まずに指摘を続ける。
『ただでさえ貧乏な俺に旅をする金がない。お前が金を持ってるわけもなし』
『………』
リリはとうとう沈黙するがカイはさらに冷静に言う。
『最後なんだが…もし万が一俺がお前と旅に出るとしよう。正直俺は強いとは言えない。武器を扱えるわけでもないし。拳法も使えない。魔法は普通だ。別に特殊な魔法や元から持ってる能力などは何もない。意味がわかるか?』
リリはカイの言ってる事を察したらしく表情を暗くした。
『元は魔神だったお前から力を奪うような凶悪なやつに俺は勝てない。ましてや使い魔が魔法を使えないとなると余計に無理だ』
『…でも!でも…!』
リリは涙をこらえながら言葉を振り絞りカイに意思を告げた。
『私にはもう…カイしかいないんだ!!もう…カイしか…』
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