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『フゥ…見つけたぜ…!こんなとこに隠れてやがったか…』
『!?』
突然の声に、リリは思考をストップさせ意識を現実に引き戻された。
『しまった!?…見つかった!……!?』
リリはすぐさまに逃げようとするが既に腕を兵士に掴まれていて体が動かない。
『悪く思うなよ。嬢ちゃん。これも仕事なんだ』
『くっ!離せ!離せー!』
リリは腕を振り払おうと暴れるが、少女の力で大人に敵うわけがなかった。
『おいおい…暴れるなよ。せめて苦しまないように殺そうとしてんだから…』
『くそー!くそー!』
リリは必死に暴れるが兵士を振りほどくことはできず、兵士は剣を振り上げていた。
(くそっ!くそっ!私はここまでなのか!?力を取り戻すどころか、町からも出られずに…!!)
『じゃあな』
兵士は剣をふりおろす。
リリはカイの顔を思い浮かべた。
そして呟くようにその名前を呼んだ。
『――カ……イ……!』
ピカッ
『…ん?…うおー!?目が!?』
その時目映い光が兵士の目の前で光り、兵士は目を押さえて倒れこんだ。
『………』
リリは確信していた。この光は誰の光なのかを。
そしてそこに映る人影を見つめた。
『――マジで命狙われてるとは…あり得ねーな!…ったく…まあ、助けにきたぜ…俺の使い魔さんよぉ…』
リリは涙を一粒流し、満面の笑みを見せ、たまらずカイに抱きついた。
『―――カイ…!!』
『おわっ!?…と…全く…世話のやけるやつめ』
カイはリリを見て小さく笑った。
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