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魔法を使う素振りは一切見せない。デウスエクスマキナを逆に鍛錬させているようだ。
「…すごいな。」
今度のリクの感嘆は本心からだ。
「あの子名前なんだっけな…。えぇ~っと…。」
こめかみを小突きながらエリスは考え込む。
「そうだ、シェリル…、シェリル…、ハウルロイド。」
「ゴツい名前だな。貴族みてぇ。」
「貴族なんじゃない?先祖代々魔術師ってよくあるし。そーゆー家ってケッコー鍛えられているんだって。」
「英才教育ってヤツ?」
「だね。先祖代々の血ってのもあるんだろうけど。」
「庶民の俺には越えられねぇもんかな…。」
そう云ったリクだが、その発言にどことなく卑屈さが入り混じっているのに気付き、口を噤んだ。
「そんな事無いよ。環境なんて関係無い、人が手に入れられるモノって、みんな平等に与えられてるんだよ、きっと。それに…。」
エリスは膝を抱え込んだ。
「特別な環境に生まれると、その人が望まなくても色んなモノも抱え込んじゃうんだよ。あの子も、きっと…。」
懐かしげに、愛おしげに、エリスは言葉を紡いだ。
二度目の轟音が響いてもエリスは動じなかった。
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