5.イン・フィーリングス

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「大丈夫?」 シェリルは振り返ってシャーロックに近付いた。シャーロックは暫く肩で息をして呆然としていたが、シェリルに気付いた首を上げた。 「ハァ、ハッ、いや、どーもありがとぉ…。」 シェリルを見返す余裕が無いくらいばてている。それほどまでにあのデウスエクスマキナが恐ろしかったんだろう。 「おいっ、大丈夫か?!」 一部始終を見ていたリクとエリスが駆け寄った。 ほとんど初対面の二人を見てシェリルは僅かに怪訝な面持ちを見せる。 「あぁ~、大丈夫、大じょ…」 「いや、お前じゃなくてシェリルの方。」 「グァビン!!」 オーバーにずっこけて見せるシャーロックを尻目に、シェリルの怪訝が動揺に変わった。 「っ、なんで、私の名前…。」 リクは無意識で云ったので一瞬驚かれた意味が分からなかった。 「え?…あぁ、そこのエリスから聴いたんだよ。」 「やっほー♪部屋近いから何回かすれ違ったよね?エリスだよ、シェリルさん♪」 リクの背中から顔を覗かせたエリスの顔を見て今朝二、三会話した相手だとわかったシェリルだが、それでも動揺は消えない。 「あっ…そっか、自己紹介したか…。」 「あら、何かいけなかった?」 首を傾げるエリスにシェリルは慌てて否定する。 「う、うぅん!私は大丈夫、ありがとう。」 自分なりに動揺を抑えたが、それでも笑顔がひきつっているのは鏡が無くてもわかった。
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