5.イン・フィーリングス

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「名前だけさ。あの家は代々後継者はその名前を受け継ぐ決まりだしな。二年前の彼とは違う。」 「会長(プレジデント)は仲間にする気あるんでしょう?」 「断られたらそこまでさ。アイツは無理強いするつもりはないだろう。ようはそこまで、さ。」 リカルドは素っ気なく言い放つと、また映像に見入った。軽く眉間の皺を寄せ、じっくりと探り込む目つきをしている。 「デウスエクスマキナの意味を知っているか?サリア。」 「機会仕掛けの神、でしょ?ラテン語だったかしら。」 唐突な質問にサリアは素早く対応する。 「それは直訳だ。元々デウスエクスマキナは演劇で使われる用語だ。」 リカルドはゆっくりと 立ち上がり、サリアの横に並んだ。 「行き詰まった状況、難解な展開を打破する必然性無き便利な存在、ようは御都合主義と云う奴だ。」 リカルドがサリアのパソコンのキーボードに手を伸ばした。サリアは大人しく手を退いた。
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