1.シオ・クォール

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理事長は呆けたようにさっきよりまた少し青くなった空を見上げて考えると、軽い調子で云った。 「まぁようは緊張なんてしなくても大丈夫ってハナシだ。」 なんとも能天気な言葉にシオはため息をつく。 そんなシオを見て理事長はまた笑った。 「新世界へ飛び込もうとする君への手向けだと思って聞き流してくれ。」 シオは明日理事長が経営する戦闘魔術師育成学校サンドハーストに入学する。 そんなシオを理事長なりに励ましているのだろう。 「じゃあもって分かり易く云ってよ。」 シオは口を尖らせた。 「いつも素顔を隠してる人にそんなの求めちゃいけないな。」 理事長の言葉もなかなか真っ当だ。 シオ自身理事長の素顔を見たことがない。 普通なら興味やら不信感やらが湧くだろうがそれでも不思議とシオは気にならなかった。 元々どこかひねくれていて、飄々とした人だし、そんな人でもシオは何故か不思議と理事長の感情が顔を見なくても理解できた。
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