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だが、リクは意識の先端をラウルに戻した。
「…だったら、アイツ危ねぇじゃねぇかよ!」
リクは鳳嘴を持って、走りだそうとすると、シオが腕を思い切り引っ張った。
「云ったはずだ、勝てないよ、リクじゃ。」
「それでも放っておけるわけねぇだろうがよ!」
振り返って激昂するリクに、シオは瞳を初めてリクに向けた。
鮮やかな空色の瞳に翳りを、突き刺すような暗みを浮かべて。
人を見ているのではなく、ただ眼前の光景を吸い込む瞳で。
だが、リクに置いたのは言葉だけだった。
「リクじゃ、アレには届かない。」
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