5.イン・フィーリングス

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「生物型程精巧で複雑な召還体は魂から切り離すのは難しい。また、魔力な変換するのも不可能だ。しかし、純粋に武器に特化した物は普通の武器と大差が無い。呪文によるプログラミングで器の負担を軽減した事により、鉄や木でなく、魔力で構成されているというだけの違いのみに留まる。シンプルな構成は魂からの独立を可能にする。故に、所有者を別の人間に転移させられるようになる。」 「だから、あれほどの武器が作れるようになるわけね。」 「その通りだ。代が変わる毎に受け継がれる武器は所持者から膨大な魔力を注がれ続け、より力を増していく。力が大きくても、構造はシンプルだから特性は変わらない。前の所有者に近い魂を血統として残せる貴族ならよりスムーズな受け継ぎをもたらす。クラウスター家のウィル・オブ・ウィルは名だたる貴族の間でも至高の名器だ。二種類以上の異なる魔法の同時発動や遠隔操作、迅速な魔法発動を援助し、更に受け継ぐだけで数百種類の魔術を継承できる。」 サリアは息を呑んだ。オーバースペックとはこの事だ。それを所有しているだけで充分過ぎる驚異になる。 「でもやはり兄弟だな、彼は…。使用パターンが兄と似ている。」 リカルドは万感の想いを込め、ため息をついた。
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