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「あれは…、ちょっとした特性で…。」
「魔力を消すアブラカタブラ、じゃなさそうだよね。あれは風と混ぜられないし。」
アレンの読みは鋭い。シオは諦めた。
「うん、魔力を中和する…みたいな効果がある。粒子だけじゃ、無力だから風と組み合わせている。」
アレンは溶けかかっている氷をピンと弾いた。
「ふーん、理にかなっているね。結構スゴい魔法じゃん!完全にオリジナルの組み立てだし、開発には時間かかったでしょ?」
「うん、一応…。」
小さな嘘だった。
生まれた時から、瓦礫の中から出てきた時から扱えた。まるでそうなるべくして在ったように。
そこに掛けた時間も、想いも無い。
シオからしたら、髪や瞳の色を決められないのと同じ。自分の中に居着いたモノだ。
何の存在の証にもならない。
何のためにあるかもわからない。
ただ、在るように在るだけ。
シオは、嫌いだった。
「その魔法の名前ってあんの?」
「…術は色々分けているけど、総称して呼んでいる名前は…」
その魔法、「アトモスフィア」が。
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