6.ダンジョンプレイ【ハイド・アンド・シーク】

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ドアを開けると、眼前には隘路が広がる。 無機質な黒いアスファルトで床、壁、天井は作られており、天井には白い白熱灯がはめられている。 その隘路は長く続き、そしてあちこちに曲がり角が見える。 一つ目の角を見ると、また隘路、曲がり角。中には行き止まりもある。 そこは文字通り迷宮だった。 「これは…。」 シオはあちこち探索しているとアナウンスが流れた。よく見ると壁にはスピーカーが設置してある。 「それでは、1-Bの皆さんのダンジョンプレイを始めます!ルールは簡単!」 心なしかいつもよりテンションが高い。 「今から十分後に上級生が東西南北のゲートから一人ずつ、フォーマンセルで入って来ます。皆さんはそこから二時間、彼らの襲撃をかわしながら生き残って下さい!ようは鬼ごっことかくれんぼが混ざった感じのゲームですね!」 クラスメイトのざわめきが大きくなった。不安の色が浮かび上がる。 「当然、皆さんと同級生の実力差を考えればかなり難易度が高いゲームでしょう。上級生チームはある程度加減をするよう心掛けさせていますが、それでもフェアとは云えないでしょう。ですから、皆さんはお手元にあるPDAを活用してください!」 PDAが起動した。起動したディスプレイに「60:00」と「40」の数字が並び、下には「MAP」「TALKING」コマンドが並んでいる。 「左は制限時間のタイマー、右は皆さんの生き残りのカウントです。これは状況確認に使って下さい。そして下のコマンドは地図と通信です。地図は相手や味方の位置が表示されますし、通信は多数の人間が同時に通話できるタイプです。上級生は通信端末しか渡されていないので、この違いも上手く利用してください。」 不安の色が多少薄らいだ。多少のやる気も湧き出てきたようだ。 「また、皆さんが戦闘不能になったと判断した場合、PDAに仕掛けられたプログラムが作動して医療機器が設置されてある別の広間に転送されます。」 ひとしきり説明を終えたようだ。 「上級生に立ち向かうもよし、制限時間一杯上手く逃れるのもよし。ダンジョンプレイはあくまで上級生と一年生の触れ合いを目的とした恒例行事です。リカルドさんが云った通り皆さんの実力を測る事もありますが、一番大切なのはただ楽しむ事です。多く学び、多く楽しんで下さい!」 終始軽快な調子のアナウンスは締めくくられた。
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