6.ダンジョンプレイ【ハイド・アンド・シーク】

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人影はまだ転移が始まっていないクラスメイトを蹴飛ばして、姿を露わにした。緑のネクタイを着けた女だ。大音量のギターサウンドが流れてくる。 上着を腰に巻き付け、両手首にメタルと革で出来たブレスレットを幾つも付けている。 首にギターサウンドを垂れ流す派手なエンブレムを施したヘッドフォンを巻き、ピンクのメッシュを入れた黒髪を頭頂部で縛っている。 「別にヘマやらかしちゃいねーよ!イキナリ襲ってきたからヤキ入れただけだ!」 マイクフォンで何やら怒鳴り散らしながら何かを大きく振るって地面に叩きつけた。 それは金属バット程の長さの音叉だ。銀色のU字の鉄棒が地面に当たった瞬間に、澄んだ音を奏でて震えた。 「わーったよ、ちゃんと云われた通りにやりゃいいだろ!しつこいんだよ!」 一際甲高い声で怒鳴った後、憮然とした態度でマイクフォンの電源を切った。
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