1.シオ・クォール

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「学校はね、何を知ってるかとか年が幾つだとかなんて関係ない。ましてや義務なんて論外だ。」 理事長は水平線を見ながら続ける。 空から闇は消え、空と水平線の境が明らかになったが、空はどこか気だるい青色に染まっている。 「ただその人にとって必要だから、ただそれだけだ。その人が意識してようがしてなかろうがね。」 そう云った理事長はシオを見下ろした。シオはまだどこか納得していない表情だ。 理事長はそんなシオの顔が面白かったのかまた小さく笑った。 「まぁ入ればわかるさ。」 理事長はそう云うとシオの肩に手をおいた。 「もう休みなさい。夜更かしは今日までだ。」 「でも…」 シオは不服そうだった。 「云ったろ?『なるようになる』。何も心配せず、その日の流れに身を委ねなさい。ほら、行きなさい。」 理事長に諭され、シオは渋々展望室を出た。 シオが扉を閉めた瞬間、水平線から顔出した太陽が作り出した朝焼けが空を、展望室を真っ赤に染め上げた。 理事長は朝焼けをまた見つめる。 「例え夜明け前がどんなに長く暗くても、朝焼けがどんなに激しい赤で空を染め上げても、青空は必ず現れる…『物事は物事のなるようになる。ただその中で何になるか』、か。」
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