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東ゲート
「あのゴミアマ…。」
ルーカ・ディエゴは無慈悲な悪態を呟いた。
通信中にも関わらず、レベッカが一方的に断絶してきたのだ。
度付きのサングラスを左手で直し、右手に持つトランプを複雑な手つきでシャッフルする。
何やら悠々と手品じみた行為を始めたのをあっちこっちの角から一年生が覗いている。
リクとアレンもその中だ。ルーカから5m程直進した先にあるT字路の左側に隠れている。
レベッカの時の奇襲チームが返り討ちにあった報せはPDAの画面に明示されている。
残り、36人。
今更になって、イメージの中の一年生と二年生の実力差と現実のギャップに、戦々恐々とする1-B。
リクとアレンも例外ではない。
ルーカの姿は視界に映っている。茶味がかった金髪とサングラスを付けた青年がトランプを器用に操っている姿は、趣味に没頭しているようにしか見えない。何やらマイクフォンにブツブツ話し掛けているが、会話の内容までは聞き取れなかった。
その姿を見て手を出したくなる面々だが、ルーカから醸し出される威圧感がそれを押し留めていた。
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