6.ダンジョンプレイ【ハイド・アンド・シーク】

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「式神?」 「ホラ…平安時代のアレ…安倍ナンたらとかが使う奴だよ。紙とかで使い魔作る術だな、簡単に云うと。」 「簡易的な召還ってとこか。なーるなーる。」 腕を組み、大袈裟に首を上下に振るアレン。 一方のルーカは襲いかかってきた一年生の相手をトゥエルブ・スピリッツに任せてサッサと直進して来た。 「こっち来てんな…。」 リクはすでに鳳嘴の柄に手をかけている。 一歩踏み出し、すぐさま構え、中段で切りかかる。相手が式神使いなら反撃にラグがある筈だ。 だが、リクはその一歩が踏み出せなかった。 『リクじゃ、アレには届かない。』 右足に力が掛かる、靴底が床に擦れる音が微かに聴こえ、鳳嘴を握る左手がより強く締まる。 力だけが、心だけが前のめりになる。 「っ!リクッ!」 アレンの大声に、リクは弾けるように覚醒した。
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