6.ダンジョンプレイ【ハイド・アンド・シーク】

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「リクの強さは、ずば抜けた身体能力や、反則的な魔法、絶対的な知能を持っている事じゃない。」 シャンディラは二頭を上下に並べ、交互に動かしながら突進してきた。 体を上手く躍動させながら、急接近する。 対するリクは刀身に魔力を込めながら構えを崩さず対峙する。 床に打ち付けた杭の如く、静かに重い構えだ。 「どんなに非常識でも、どんなに不条理でも、どんな困難にぶつかったとしても、そして例え自分の力が足りなくても、絶対自分の信念を貫き通せるのが、リクの強さだ。」 シャンディラが間合いに入った瞬間、リクは強く鳳嘴を振り下ろした。 「アウトブレイズドライブ!」 振り下ろされた鳳嘴は、シャンディラの二頭を大気の壁ごと両断した。 そして刀に込められた魔力が尋常じゃない速度で吹き出し、空気と刀身が摩擦した時に発した熱を爆発的に増幅させた。 迷宮の空間が、真っ赤に染まる。 斬撃と高熱がシャンディラを遮断する。 アレンの位置にもその熱気が伝わっていた。 リクは気分が高揚していた。 刀身から発せられている熱は自分の体の中から発しているような感覚があった。 「リクが弱いって?イヤイヤ。リクは己の意志に関係無く、勝手に、どこまでも強くなる。だから、そんな力まなくても良いさ。」 アレンは低く息を吐いた。 「リクは、信念を貫く度に強くなる。そして、いずれは…」 アレンはそれに続く言葉を濁し、リクに駆け寄った。
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