6.ダンジョンプレイ【ハイド・アンド・シーク】

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だが、視界に入ったのはシャーロックの背中だった。シャーロックはハンマーを担いで、裸足のまま全力で走っている。 そのまますれ違いにラウルの襟を掴んで背負っていく。 「うわっ!ちょっ、シャーロック!」 急に持ち上げられ、ラウルは混乱する。シャーロックは何も答えずただ突っ走る。 「なっ、何で、僕をっ…」 「やってられるかっ!一先ず退散、解散、爆散!」 ハチャメチャな返答をぶつけて、シャーロックは全速力で二つ目の角を曲がり、北へ向かった。 ラウルは鼻先がツン、と痛くなった。鼻腔から熱いモノが込みあがってきたが、強く食いしばって押しこらえた。 ラウルはシャーロックに担がれたまま、振り絞るように言葉を紡いだ。 「……ゴメン、…ごめん…。」 シャーロックは何も返さず、ラウルを担ぎ直した。
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