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「まぁ戦闘魔術師育成学校だもんねぇ、平たく云ったら軍人さん出す学校だもんね。」
対照的にアレンは楽しげだ。甲板ではしゃいでいたり、別のベンチに座っている他の入学生を忙しなく観察している。
「いろんな人がいるなぁ、みんなエリートなんだろ?」
「だろうなぁ。」
リクは興味なさげにコーラをまた一口。
そんなリクの顔をアレンは覗き込んだ。
「一応僕らもその中にいるんだぜ?ハンパない魔法使ったり、ブルース・リー並みに強い人らの中にさ。」
その言葉にリクは右眉を上げる。
「…マジでか。」
リクは横目でバットケースを見やる。
中に入ってるのはバットでは無く、一振りの日本刀。銘は「鳳嘴(ほうし)」。
サンドハーストに入るには武器を持った方が魔法の操作や実技で有利だと云うので祖母の蔵にあったのを引っ張り出してきた由緒正しき業物だ。
だがリク自身剣術の心得はないし、鳳嘴自体ちゃんと使えるかわからない。
「やべーよ、ボコボコにされるよ。今から素振りしないと…。」
焦るリクだがアレンは変わりない。
「いいじゃん、リクは立派な武器だろ?僕なんて地元で買った警棒だよ。」
そう云って腰のホルダーに付けている二振りの三段式の特殊警棒を見せる。
リクはそれを見て深く溜め息をつく。
「…俺ら生きて帰れるかなぁ。」
「神に祈ってみる?」
アレンは残りのアイスティーを一息で飲み干した。
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