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北ゲートエリアにて。
「…ゲホッ、ゲホッ…。デイジー…、シェリル!」
エリスは粉塵を払いながら二人を探す。
制服は所々焼け焦げ、埃まみれだ。エリスはブレザーを脱ぎ捨て、ネクタイを緩めた。
頭痛と、乾燥した空気が通った喉の痛みがエリスの意識を疲弊させる。
疲労が思考を掠める。だが、それは少しばかりの優しさを孕んで、エリスの瞼にのしかかった。
エリスの心は一瞬波打ったが、デイジーとシェリルの状況を見て開き直った。
デイジーが背中を震わせて呻いている。
その下には目を見開き、驚愕した表情のシェリルがいた。
「デイジー!」
エリスが駆け寄ってデイジーを俯せに寝かせる。
あの爆風からシェリルを庇ったのだろう。ブレザーの背中部分が黒こげになっている。
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