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同時刻、中央広間。
「…遅かったな。」
周囲にいる十匹のクンビラの目から出る画面から目を離さず、ルーカは無愛想に云った。
広間に辿り着いたアッシュはブレザー、シャツの腕がブラッディーアネモネを放った為に焼けて破れてしまっている。
僅かに余った布地の編み目から黒い鉄甲を纏った腕が見えた。鈍く、重厚な光沢を艶めかせる鉄甲にはあちこちに砲門が開けられていた。
「すまない、些か苦戦した。」
アッシュはルーカの後ろに、背中合わせにして立った。
両拳を一回摺り、半透明の円柱を四つ出現させる。
「苦戦?下らない。色気づいたんだろ。」
ルーカは冷淡に言い放つ。
「加減したら負けそうになったのは本当だ。」
アッシュは苦笑した。
出現させた円柱が一つ宙に浮く。
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