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リーシェンは迷宮を彷徨きながら煙を吐いていた。シャーロックとラウルが逃げ込んだ道はわかっていたが、入り組んだ道に入る気にはなれなかった。
「プハァ~…。」
北ゲートエリアから逃げ込んで来た一年生を潰すのにも飽きたリーシェンは壁にもたれて一服していた。
もっとも、吹かしているのはただの水蒸気の塊だが。
「おんや?」
見ると足下にクンビラが一匹這い回っている。綿埃に似た体を忙しく揺らしながら壁から壁を往復する。
「あぁ、ここまで送って来たのかい。」
リーシェンはマジマジとクンビラを観察しながら煙を深々と吸い込んだ。
ふと、ドタドタと足音が聞こえてきた。リーシェンは無言で足音が近付いてくる曲がり角に振り向き、煙を吐き出す。
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