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学生証を受け取ったヲリエは傍らのパソコンの画面に映っている名簿で確認する。
「月白リク君、って云うんだー!カッコいいね!学生証返すねー。」
「い、いやそんな事無いっすよ…。」
また世間話が始まる。リクは完全にヲリエのペースに乗せられていた。
「謙遜なんて生意気だぞ♪年上の云うことは素直に聴きなさいよ♪」
「そうっすかね…。」
ペースこそ乱暴だが、フレンドリーなヲリエのおかげでリクの緊張は解けていた。
「あっ武器見せてねー。」
また唐突な要求が来たが慣れたリクはすぐに対応する。
バットケースから赤い目貫の柄が顔を出した。
ヲリエは幸福したようにまた身を乗り出す。
「わー日本刀かぁ!良いねぇ!カッコいい!ちょっと見せ…」
「後ろつっかえてますぜー、チーフー、入学生に絡むのやめてくださーい。」
ヲリエが言い終わる前に低い男の声が横やりした。
リクが後ろを見ると並んでいる入学生達が苛立った様子で立っている。
(はよせんかぃワレ!)
と今にも怒鳴りそうな視線が痛い。
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