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「ハゲインポはねーよなぁ~…。ハゲでもインポでもありゃしないんだよなぁ。」
横やりを入れた青年は疲れたように呟いた。
ボサボサの黒髪に黒縁のメガネをかけた青年は手にしている学生証と名簿を交互に見てカウンターに学生証を置いた。
「シオ・クォール確認、と。はい、得物見せてくれな。」
学生証を受け取ったシオは黙って手にしている杖を見せた。
シオの杖は白色で丁度背丈と同じ高さだ。
先が七支刀のように枝分かれしているがそれが絡み合って鎌のような形になっている。
一年前に理事長から与えられたものであり、監察員の時から愛用してきた。
「はい、確認。中央ロビーでクラス分け掲示してるから荷物を係に預けて教室で待機してろ。」
杖を確認した青年はさして興味なさそうに連絡事項を告げた。
「じゃあ頑張ってくれ、シオ。良い学校生活を。」
青年はそう云ってシオの後ろで並んでいる少女を手招きした。
「ありがとう。」
軽く礼を云ってシオは奥に進んだ。
受付を済ませ、荷物を預けた入学生がクラス分けが掲示してあるボードの前に集まっている。
その群に入ろうとシオは歩みを進めるがその足取りには少しばかりの戸惑いがあった。
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