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ふと空席だったシオの右隣に誰かが座った。
「あーくそっ、早速失敗した…。」
「先輩達にいいアピール出来たんじゃない?」
「何のアピールだよ…。」
「えーっと、ドジっこ?」
「寝言は寝て云えー。」
前に座った金髪の少年と話しているのは大柄で黒みが強い茶髪をした、目尻がちょっと尖っている東洋人。
「でも廊下で待って正解だったねー。リク絶対迷うと思ったよ。」
「お前ももう少し目立つとこにいろよ…。」
「ド真ん中に立ったら迷惑さ。それに勝手に無視したのはそっちじゃない♪」
笑いながらからかう金髪にリクはバツの悪そうな顔をした。
「そりゃそうだけどさ…。」
一年生の教室は校舎の二階、中央ロビーから階段を上がって右に曲がった所にある。だが手前の2つの部屋は資材室とミーティングルームであり、生徒の教室はさらに階段を挟んだ向こう側になる。リクは教室を間違えてミーティングルームに入ってしまい、入学式の準備に使っていた二年生と鉢合わせしたのだ。
忙しさでピリピリしていた二年生が間抜けな新入生に殺意に近い視線を向けたのは云うまでもない。
「慌てて引っ張り出してやった恩は忘れないで欲しいね!」
金髪は威張るように胸を張る。
「へいへい、感謝してるよアレン様。」
リクは適当に云い流してそっぽを向いた。
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