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シオは口調こそ変えていないが目が泳いでいた。リクは緊張からだと思って気に止めなかった。
「うわっ、あの子可愛いな~!」
どことなく興奮している声を上げたアレン。アレンの向いている方を見るとシェリル・ハウルロイドがいる。緑色の瞳をキョロキョロさせて自分の席を探しているようだ。
アレンのようにシェリルに見とれている男子も多い。
無論この段階で彼らは彼女の名前を知らない。
「ナンパすんなよー?」
リクが呆れた調子で云うと、
「まさか!お茶に誘う前に愛を伝えるね!」
と目を輝かせながら云うアレン。その目をシオに向ける。
「シオも可愛いと思うでしょ?」
シオはシェリルをしばらく見つめて首を傾げる。
「…よくわかんない。」
「またまた!ホントはもうムラムラしてるくせに~!」
アレンは笑いながらシオの肩を叩いた。シオは困ったような表情を浮かべる。
「まぁでも普通に美人だよな~。」
リクは一番左の列の前に座ったシェリルを見やりながら呟いた。後ろから見たシェリルの背中は小さくか細い。
「あ~何さ!自分もロックオンしてんじゃん!」
「お前みたいに下心に溢れてねーっての。」
アレンの不平をリクは受け流す。
「どうかな~リクは昔からむっつ…り…。」
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