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突然アレンの話が先細りしていき、しまいに沈黙してしまった。入り口の方を凝視している。
「どうした?また可愛い子か?」
リクとシオが見やると、アレンに倣って停止した。三人を沈黙させたのは今入ってきた少年だ。
リク程の長身で黒色の短髪、太い眉毛をした少年は一見普通だが、正面を向いた時にその異様さがわかった。
首の右側から頬かけてトライバル系の黒い刺青が彫られているのだ。
そのため人相が異様に悪い。端から見たらギャングか殺し屋にしか見えないだろう。
刺青の少年はゆっくり教室の中に入ってウロウロ歩き始めた。教室内を見渡す目は刺青のせいもあってカモを探しているようにしか見えない。
机の列の間を少年が歩く度周囲は目を反らす。だが完全に無視できない者や興味津々な物好きが少年をマジマジと見つめている。
すると少年が足を机にぶつけた。
「あぎゃっ、とっ、ばぎゃっ!」
情けない声を上げて、バランスを崩した少年が片足で跳びながら倒れ込んだ。周りの者は驚いて後ろに退き、戦々恐々と少年の行動を見守った。ぶつかった机の主の少女は半泣きで震えている。
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