2.エントランス

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ドアーズルームとはプラントに入るドアがある部屋であり、五階建ての校舎一階毎に置かれている。空間系魔法で構成されるプラントにおける唯一の出入り口であり、一度に数十人は入れる大きさだ。 アナウンスが流れてからゾロゾロと入学生が階段を降りてドアーズルームに入っていく。途中二年生の誘導を受けているので混雑はしていない。 「一年生って何人いるんだっけー?」 ドアーズルームに流れ行く人ごみを見ながら受付を片付けているヲリエは云った。 「二百人、ってか覚えといてくだせ~よ、チーフ~。」 ボサボサ髪の青年が眼鏡を拭きながら答える。 「だーから年増って陰口を云わ…」 「なーにハゲインポロリータコンプレックスリント君。」 「…なんでも無いです。」 云い掛けた悪態を悪態で叩き潰されたリント・ディグラルは黙り込む。 「なんかネタになりそうな子いたー?」 ドカッと椅子に腰掛けるヲリエ。だらしなく両足を広げて伸びをする。 「一応気になったのリストアップしときましたぜ。」 リントはカウンターの中の私物の文房具を左手で片付けながら右手でカウンターに書類の束を置いた。 ヲリエは跳ね返るように起きあがると、カウンターに飛び乗り、さらにリントのカウンターへ飛んでまたドカッと、今度は胡座をかいた。リントはさり気なくカウンターから顔を反らす。 「ホゥホゥ…曲者揃いでいいですなー♪」 リストを読みながらヲリエは心躍って歓声を上げた。全ての名前と写真に好奇心の視線を浴びせる。無邪気なそれはどことなく温かみがあった。
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