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ドアーズルームから講堂に入った入学生は中央の椅子の列に並んで座られた。
講堂は千人は優に収容出来る規模であり、カーネギーホールやオペラハウスを連想させる荘厳な作りになっている。たが決して華美過ぎるわけではなく、天井に規則正しく配置されている市販のスポットライトのオレンジ色の光がどこかピリピリした雰囲気を柔らかくしている。
中央の、入学生が座る席の丁度真ん中にシオとリクは並んで座っていた。アレンは同じ列の右端に離れている。
「にしても、ここってホント先生いないよな。えっと、監察員(ティーチャーズ)だっけ?」
ひとしきり講堂に感嘆した後のリクが辺りを見渡した。
入学式開始直前まで忙しく動いているスタッフは皆緑や赤のネクタイを付けた学生ばかりだ。
これまでの道中リクはサンドハーストに大人が居るのを見ていない。
「生徒会が実質的に取り仕切っているからね。」
シオがステージから目を離さず答えた。
「それってすげーよなぁ!仲間同士で好きに色々やれんじゃん!余計な校則もないし、雰囲気思ったより緩いし、なんかいい感じだよなー!」
そう云ったリクの頬は紅潮しているようだ。リク自身腹の底から這い上がる興奮を感じていた。
「やっぱり…。」
シオが細い声で何か云いかけた。
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