3.壇上の男

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ステージの袖にて。 レイル・コンスタンティノーブルはメイデン・メタルパレスにネクタイを直してもらっていた。 「身嗜みくらい気を使いなさいよ。」 メイデンの節介にレイルは笑う。 「別に構わないさ。格好で全てが決まるような法則はない。」 弁士のように滑らかな口振りのレイル。 「バカじゃないの。私に愛されてるなら自覚なさい。」 メイデンが高い声でピシャリと云い、レイルの顔を見上げた。 銅色の瞳がレイルの顔を見つめている。 「ハイハイ、心するよ。」 レイルの態度は変わらない。が、どこか安らいでいるようだ。 メイデンはレイルのネクタイを直し終わっているが、まだ掴んでいる。 そのまま、さっきより幾分低い声で云った。 「…このネクタイを絶対に外れない首輪に変えたら、どう思う?」 「それはそれは刺激的な夜になるだろうね。」 レイルの口調は楽しげだ。だが、メイデンはそのジョークに乗らなかった。 レイルはそれを察し、さっきよりゆっくりした調子で返す。 「キミなら出来るんじゃないか?」 メイデンには素っ気ないように聴こえた。 「相手があなただもの。M過ぎるのも考えものね。」 突き放すように云ったメイデンだが、その手はまだネクタイを掴んでいる。
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