3.壇上の男

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噂のレイル・コンスタンティノーブルがステージの袖から現れた。足取りはなんとも軽やかだ。 途端に拍手と歓声が倍増した。音や声がうねり、生き物のように質量を持ってレイルを覆った。 レイルは手を振って歓声に応え、机上に手を置いた。それが合図だったかのように講堂内に沈黙の帳が降りる。 「ありがとう、みんな。また逢えて嬉しいよ、今年もよろしく頼む。」 よく通る声だ。 「そして、入学生のみんな、入学おめでとう。」 中央の席から喝采が上がる。 「色んな目的を持って君たちはここに来たと思う。君たちの心は今大きな不安と希望が渦巻いているだろう。それは在るだけで心をかき乱す。だけど、それは在っていいんだ、少なくともここサンドハーストでは、僕の前では隠さなくていい。」
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