3.壇上の男

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「ここは生徒会がみんなを支えている。みんなの希望、不安、感情を受け止めるものがある。だから幾らでもその想いをぶつけていいんだ。」 レイルが熱くなるのと同時講堂内の沈黙の中で一人一人の高揚感がせり上がる。 「僕はそれが出来る力を持っている。会長という席につくまで、ずっと求めていた力だ、そして僕にはそれを成し得るのに力を貸してくれる仲間が僕の手になってくれている。でもね、それは決して特別な事じゃない。元々僕らは何よりも自由で、何かを強く想える意志があるんだ。」 レイルは壇上で両手を掲げた。天井に遮られ見えない空を抱く。 「でも未来はその自由が、意志が、そして僕らの支えがあっても早々思い通りにならないだろう。大人が全てを担う世界で子供の僕らが想いを叶えるのは難しい。数多の壁が、数多の鎖が、数多の痛みが何時だって僕らにのし掛かる。」 レイルの語調が強くなる。 「だがそれが世界の通念なら、僕らが抱く自由や意志もまた、それに等しいものである筈だ。そして、それは世界でさえも揺らすものである筈だ。」
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