3.壇上の男

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「二年前のアドレフォスト……。それで僕らは思い出した筈だ、自由を、意志を。そして目覚めた筈だ、世界を動かす力に、希望に、想いに。」 駆け上がるように演説はクライマックスへと向かう。 「アドレフォストが僕らの在るべき形を示したものなら、何も恐れることは無い!心の中で想いを飼い殺す事は無い。解き放ち、あるがままに生きようじゃないか!自分の想いに不安を抱く事は無い、僕が全て受け止めよう、力が無いと嘆く事は無い、僕に託してくれ、僕が力になろう!」 一瞬一息置いた。 「サンドハーストに入った事は幸福だ。君たちは誇りを持って、ここから歩き出せばいい。」 「その先にあるのが、君たちの未来だ。」 講堂にいる生徒が一斉にスタンディングオベーションで喝采した。 レイルは喝采の雨を全身で浴びた。その身で取り込むように、その心に宿すように。 誰もが座っている席から動かず、彼に心を届けていた。
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