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カークスはしばらくファイルに見入っていたが、連絡事項を云い終えたらしく、パタンと音をたてファイルを閉じた。
「やれやれ終わりか」と満ちていた鬱屈な沈黙が消えようとした瞬間、
「では最後に我々から一つ。」
唐突に彼の口調がなだらかになった。カークスはゆっくりフードを被る。
「我々は君達に自由を保証している。我々は監察員の名を冠してはいるがあくまで一教師だ。君達の幸福な現在、さらに未来を期待し、それを叶えさせるという使命を最優先として行動する事は約束しよう。」
カークスはファイルを抱えた。
「だが…君達がもし、越えてはならない一線を越え、そして過ちに身を浸そうとするなら、誰よりも迅速に、確実に君達を鎮圧する事を記憶しておいてほしい。」
そう告げたカークスは、さっさと教室を出て行った。
沈黙の代わりに、もっと複雑な感情が溶けた空気が教室に溢れた。
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