22.それでも、僕は

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「あなたらしくない…。」 「だろうな。」 「野心の塊にしちゃ温すぎます。」 「ハハハ…まぁそんな俺にもいるからな…。なぁに、お前にも見つかるさ。」 アッシュにしては涼やかだ。 「見つからなくてもどうにかしますよ。」 「見つけるんだよ。」 少し膨れっ面になったヴァンクラウンは席を立った。 「どこに行く?」 「リカルドさんの元へ--…。出頭です。」 「潔いな。」 「手前の不始末を拭うのは手前だけですから。…それに多少の懲罰など、さしたる事はありません。」 そう云い残すヴァンクラウンは逞しかったが、まだ十五歳の趣は強かった。 「早熟なのも大変だな…。」 アッシュはステージを見やる。 「まぁ熟し過ぎていてもダメだな…。」 「アッシュさん!此処手伝ってくれません?!」 「あぁわかった!」 ステージ上からの呼び掛けに答えてアッシュは向かった。 後輩の不始末の後始末だが、妙に楽しかった。
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