22.それでも、僕は

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「…リル、ェリル、シェリル!」 「…あ、…はぃ…?」 呼び声に叩かれて、シェリルは焦点を戻した。 ムスッとしたデイジーと不安げなエリスの顔にピントが合った。 「どっかにアタマがトんでたぞ!寝不足か?」 「ううん…大丈夫…。」 「ハッキリ前を見て喋らないとさ。何か引っ掛かりでもあんの?」 「ううん…ホント何もないから…。」 内心はシオを待っている。エリスとデイジーが疎ましい訳じゃないがどうにも気詰まりだ。 しかし、あどけない調子のデイジーには幾分ホッとする。 一方のエリスに対しては少し気まずさを感じてしまう。受け身の体勢に甘んじているシェリルにはエリスは少しばかり遠い。 エリスの方も退いた心持ちで接してしまっていた。 「取り敢えず、さ。ランチにしないか?」 二人の間にデイジーが明るい声を落とす。 「そうだね。」 「あ…ハイ。」 二人はそれぞれの面持ちで頷き、デイジーに続いた。 そういえば今日のシェリルは付き合いが良い。 エリスはシェリルの横顔を見ながらそう思った。
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