22.それでも、僕は

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しかし一番驚いていたのはエリスのようだ。 すっかり面食らった顔でキョトンとしている。 が、その顔は寂しげに崩れた。 「そ、そんな事ないよ…シェリル…。」 いつもハキハキ話す、彼女らしくない覚束ない口回しだ。 エリスの胸の内にも、シェリルのに似た情けなさが溢れ出ていた。 底から鼻腔に圧力を持ち上げているような感覚。押し負けないよう、崩されないよう、エリスは堪えた。 「あぁ~…ゴメンね、なんか…。何でもないの。」 エリスは笑顔をアピールしながら取り繕う。 「こっちこそ…ね、ありがとう。私も、シェリル好きだよ。」 最後のフレーズが弱くなった。 どうして?ハッキリ云ってしまえ。 あの子は、許してくれる。 でも、私は……。 エリスは頭を振って余計な思考を吐き出す脳を黙らせた。 「私も、シェリルが好きだから。」 鼻先と耳たぶが赤く染まるのをひしひしと感じながら、エリスは込み上がった言葉をただそのまま伝えた。 聴いたシェリルは、はにかみながら、そっと、笑顔を綻ばせた。 不思議だった。 シェリルを気に掛けていたのはエリスなのに、何故だが一番安堵しているのもエリスだった。
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